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米国の商品先物市場を監督する機関として商品先物取引委員会(CFTC)があります。
証券取引委員会(SEC)と同じような組織で、独占的な司法権を持つ大統領の直属機関です。
委員は五人で、上院の同意を得て大統領が任命しますが、レーガン大統領が任命したのがフイリップージョンソン委員長です。
ジョンソン氏はシカゴの商品弁護士で、シカゴ商品取引所(CBT)の相談役でもあったことから、先物取引に関しては非常に積極的でした。
各取引所から申請が出ていた附しい商品の上場を相次いで認可し、上場商品の多様化をはかりました。
自由化など、規制緩和策を打ち出し、一九八六年の「ビッグバン」(証券制度大改革)にもつながっています。
市場原理を重視するレーガン政権は、カルテル色の濃い商品協定にも批判的だったようです。
この場合、第六次協定(八二年七月-八七年六月)に米国が加盟していないことも、このことを物語っています。
国際コーヒー協定(ICA)には加盟していますが、米国にとってはヱ裏庭”とでもいうべきブラジル、コロンビアが加盟しており、政治的色彩が濃いもので、基本的には批判的といわれています。
八〇年代に入って、世界の経済構造も大きく変わりました。
七九年から八〇年にかけて起こった第二次石油危機の後遺症で世界経済が不況に陥りました。
景気循環での長期波動観測として知られるコンドラチェフの波(五〇-六〇年周期)でも、七〇年代が上昇局面の末期に当たります。
加えて、産業構造が、八〇年代に入って「重厚長大」かち「軽薄短小」へ、あるいはソフト化、サービス化へと移行した結果、先進主要諸国の原材料需要は減退しました。
一方、連邦準備理事会(FRB)の金融政策が、ボルカー議長の誕生によって、金利からマネーサプライ(通貨供給量)重視へと大転換しました。
米ドル高、高金利が発展途上国経済を直撃しました。
メキシコ、ベネズエラなど中南米諸国の債務危機が相次いで表面化したのもこのためです。
これら債務国は外貨(主に米ドル)を獲得するため、需給を無視しても銅、銀などを増産し、輸出しなければならない苦しい立場に追い込まれました。
当然のことながら一次産品の需給バランスは崩れ、価格カルテルも崩壊しました。
モノ(商品)の価格はより鮮明に先物市場、マーケット主導の展開となったわけです。
八五年秋の五力国蔵相会議(G5)を契機として、ドル高は急激に修正され、投機資金がモノの世界へ戻る気配を示しています。
今後とも、マーケット主導の展開に変わりはなく、ゆるやかな活況を取り戻すことでしょう。
順調に拡大してきた世界の商品先物市場ですが、九〇年代に入って基調の変化もみられます。
米国先物業協会(FIA)によると、九一年一-六月の商品先物(農産物、貴金属、石油、非鉄金属の四商品群)の出来高は四千八百八十一万枚と前年同期に比べて一三・三パーセント減少しました。
マイナス成長の原因として指摘されているのが、世界的な資金不足です。
米国では不動産不況などによって銀行が貸し渋りの姿勢に転じ、投資資金も縮小しました。
投資家は少しても肩和乙海月夕を求めて選別投資の姿勢を強めていますが、商品相場は総じて安値安定状態になっています。
米国景気の後退などが背景にありますが、投資妙味が薄れていることは確かであり、商品市場に資金が向かわなくなりました。
八〇年代は潤沢なマネーが商品先物市場の拡大をもたらしましたが、九〇年代はクレジットークランチ(金融ひっ迫)という逆風のもとでのスタートとなったわけです。
マーケット主導の時代が終わったわけではありませんが、八〇年代の揺り戻しに直面しているといえるでしょう。
商品先物市場が発展し、新しい時代を迎えた背景には、取引所間で競争や提携が急ピッチで進んだこともあります。
特に、ニューヨーク、シカゴを軸とした米国の取引所がエネルギッシュな動きをみせています。
ニューヨークの先物取引の舞台は、世界貿1センタービル別館にある商品取引所センター(CE43C)です。
CECではニューヨークーコメックス(商品取引所)、ニューヨークーマーカンタイル取引所(NYMEX)、ニューヨーク綿花取引所、コーヒー・砂糖・ココア取引所が、一九七七年七月から同じフロアで取引しています。
各取引所とも清算機構(クリアリングーシステム)などは別々で、それぞれ独立していますが、見た目には全く同じ取引所です。
ウォール街はすぐ近くにありますし、情報収集の面でも格好の場所といえます。
このCECの中で新しい動きが出ています。
まず、八七年七月、ニューヨーク先物取引所(NYFE)が、ニューヨーク綿花取引所の立会場で取引することに合意しました。
NYFEはユーヨーク証券取引所(NYSE)の子会社で、NYSE総合株価指数、CRB(コモディティー・リサーチービューロー)商品先物指数の先物取引を行っています。
現在はNYSEのI角にありますが、CECと一体となることで、取引の一層の拡大を狙う構えです。
ニューヨークにある五つの先物取引所は、これで1ヵ所に大同団結することになるわけです。
もうひとつの動きは、コメックスとNYMEXの合併計画です。
コメックスの会長に就任したばかりのブロディ氏が仕掛けた初仕事というのが、先物市場関係者のもっぱらの見方です。
両取引所は合併準備共同委員会を結成し、具体的な詰めを急いでいます。
コメックスは金、銀、銅で世界をリード、NYMEXは干不ルギーで躍進しているだけに、合併が実現すれば、大きな力となるはずです。
ニューヨークは金融の中心でありながら、先物取引に関しては完全にシカゴ勢に押されています。
このような動きは「シカゴに対抗するためのニューヨークの体質強化」とみられています。
また、コメックスは八七年六月から、金、銀、銅、アルミの先物取引で、値幅制限(ストップ高、安)を全面撤廃しました。
先物相互間や現物価格との裁定を弾力的にするもので、先物取引所としては画期的なことです。
非鉄の取引所としては世界最大規模を誇るロンドン金属取引所(LME)は、以前から値幅制限はありませんので、このへんをにらんだ措置ともいえそうです。
いずれにしても、投機資金が流入しやすくなることは確かで、他の取引所へ大きな影響を与えることでしょう。
ニューヨークの動きに対して、シカゴはそれほど過敏になっているわけではありません。
というのもシカゴは世界最大のシカゴ商品取引所(CBT)、同二位のシカゴーマーカンタイル取引所(CME)がシェア争いにしのぎを削っているからです。
それでもニューヨークを意識している面があります。
これらの動きは「シカゴVSニューヨーク」という図式でとらえられますが、米国の先物取引所全体としてみると、ワールドワイドな戦略へと広がっていきます。
米国の先物取引所は、伝統的に午後二時ごろの比較的早い時間に取引を終えていましたが、最近の二十四時間取引に対応するため、米国以外の取引所との提携や夜間取引を導入する動きが目立っています。
特に極東時間に合わせたものが多くなってきました。
口火を切ったのがCBTです。
CBTは八七年五月から、財務省債券など金融商品について、午後六時から九時(米中部夏時間)までの夜間取引を導入しました。
冬時間に移行する十月二十五日からは、午後五時から八時半までと三十分延長しました。
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